フレックス制でも残業代はもらえます!発生基準と請求に必要なもの

フレックス制でも残業代はもらえます!発生基準と請求に必要なもの

 

残業代ゲット
 フレックスタイム制とは、1日や1週間ごとに労働時間を定めるのではなく、1か月以内の一定の期間(これを「清算期間」と呼びます)と総労働時間を定め、労働者がその範囲内で毎日の始業時刻と終業時刻を自由に決めて勤務するという勤務形態のことです(労働基準法32条の3)。
 このようにフレックスタイム制は、通常の勤務形態とは異なり、始業時間と終業時間が固定されていないことから、終業時間を超えて(残って)業務をするという意味での残業代は想定できませんが、残業代は発生します。
 これから、どのような場合に残業代が発生し、発生した残業代を請求するために必要なものについて説明します。

 

残業代とは何か

 

残業を頑張る

 

 いわゆる残業代は、法的には「割増賃金」と呼ばれます。
 使用者は、法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働をさせた場合は、労働者に対し、割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条)。
 すなわち、割増賃金は、本来の労働時間ではない時間に労働者を働かせた場合に発生することになります。
 そして、「労働時間」とは、始業時刻から終業時刻までの拘束時間から休憩時間を除いた実労働時間とされています。そのため、始業時刻前や終業時刻後に労働者を働かせた場合には時間外労働となって割増賃金が発生することになりますが、先に述べたとおり、始業時刻と終業時刻を労働者が自由に決めることができる勤務形態がフレックスタイム制ですから、一般的な基準では割増賃金が発生するのかどうかについて判断することができません。
 では、フレックスタイム制では、どのような基準で時間外労働をしたのかどうかを判断するのでしょうか。

 

フレックスタイム制の割増賃金の計算方法

 

フレックスタイム制について

 

 フレックスタイム制では、始業時刻や終業時刻という概念がありませんので、事前に定めた1か月以内の一定の期間(清算期間)の総労働時間を超えた時間が時間外労働とされています。
 この清算期間は、通常は1か月と定められることが多いことから、清算期間が1か月として総労働時間を計算すると、1か月の日数が28日のときは160時間、29日のときは167.5時間、30日のときは171.4時間、31日のときは177.1時間となります(1週間の法定労働時間が40時間の場合を前提としています)。
 つまり、その月に自分が実際に働いた時間を合計して、その月が1か月30日の月であれば171.4時間を超えたものが時間外労働となり、割増賃金が支払われるべき対象となるわけです。
 なお、割増賃金は、先述したとおり、時間外労働だけではなく、休日労働や深夜労働でも発生します。
 そのため、フレックスタイム制の勤務形態でも、午後10時から午前5時までの間に労働したときは25%の深夜労働分の割増賃金が発生します(通常の勤務形態では、例えば始業時刻が午前8時、終業時刻が午後5時であれば、午後11時まで労働すると6時間分の時間外労働と1時間分の深夜労働の割増賃金が発生しますが、フレックスタイム制では、総労働時間の範囲内である限り、1時間分の深夜労働の割増賃金が発生するだけです)。

 

割増賃金の請求に必要なもの

 

残業代下さい

 

次に、割増賃金を請求するにあたって、基本的な事柄を抑えましょう。

時効は2年である

 

2年過ぎてた

 

 まず、割増賃金請求権は2年で時効にかかって消滅します。毎月の給料が20日締めの25日払いであれば、2010年1月分(清算期間は2009年12月21日から2010年1月20日まで)の割増賃金は、本来であれば2010年1月25日に支払われるべきものになりますので、その2年後である2012年1月24日に時効にかかることになります。
 時効消滅を防ぐ方法は、その日までに訴状を裁判所に提出することです。もっとも、内容証明郵便を出して請求しておけば(法的には「催告」と呼びます)、そこから6か月以内に提訴すればよいとされています。したがって、上記の例で言えば、「2009年12月21日から2010年1月20日までの割増賃金の全ての支払いを求める」というような記載をした内容証明を送っておく必要があります。ここで具体的な金額を記載し、もし実際の割増賃金が請求額よりも多額だと、請求額を超えた部分は時効消滅してしまいます。そのため、上記のような概括的な表現にしておくか、請求できるかどうか確信がない金額も請求額に含め、多めにサバを読んでおくべきです。

時間外労働時間の証拠が必要

 

残業の証拠

 

 フレックスタイム制の勤務形態であっても、割増賃金の請求をするために必要なものは、通常の勤務形態のときと同じです。
 すなわち、時間外労働をしたこと(具体的な時間外労働の時間は何時間何分か)を証明する証拠を確保しておく必要があります。
 通常の勤務形態であれば、始業時刻と終業時刻が固定されているため、始業時刻の前と終業時刻の後に労働したことを証明すれば足ります。しかし、フレックスタイム制の勤務形態は、清算期間内の総労働時間を超えたものが時間外労働になりますので、清算期間内の全ての労働時間を逐一証明しなければならないことになります。
 上記の例で言えば、2009年12月21日には何時から何時まで仕事をし、その間に休憩を取ったのは何時から何時までかというように、全ての日の労働時間を具体的に確定した上で、その合計額と定められた総労働時間を比較し、実労働時間が総労働時間を超えているかどうかを計算する必要があります。
 何も資料がなければ、この計算はとても大変ですので、タイムカードがある会社であれば、タイムカードは毎日きちんと押しておくべきでしょう。